15巻は、茂野吾郎が中学で再び野球のフィールドに戻る決意を固め、不良化した元チームメイト・山根との激突を軸に、バラバラだった三船東野球部が動き出す“再起動”の一冊だ。肩も夢も壊れかけ、それでも吾郎は突き進む。熱量が紙面から噴き出す。アツすぎて読み終わった直後に素振りしたくなった。単行本は全183ページで、読み切り映画一本分の濃さに仕上がっている。以下ではストーリーを深掘りしつつ、心を揺さぶられたポイントをラフに語っていく(大筋は語るが結末ネタバレは避けるので安心してほしい)。
ざっくりストーリー(ネタバレ控えめ)
冒頭から野球部の部室が荒らされる事件で幕を開ける。犯人はリトル時代の仲間だった山根たち不良組。彼らは先輩の理不尽で野球を憎むようになっていた。吾郎は拳と本音でぶつかり合い、かつての“野球少年”を呼び覚まそうとする。
事件後、三船東は部員ゼロから再スタート。キャプテン小森は吾郎に背中を押され勧誘に奔走し、清水薫もサポートに現れる。
後半では早くも三船西との練習試合が決定。左投げ左打ちへ挑む吾郎、仲間集めのドタバタ、試合の予感という“3段ブースター”が一気に点火する。
心を揺さぶられたポイント
1. 利き腕を替えてでも野球がしたい執念
吾郎は肩を壊しながら左腕を鍛え直す。“じゃあ左でやればいい”と即断できる無茶ぶりに震えた。
2. 山根という“もう一人の吾郎”
もし支えを失っていたら吾郎も同じ道を歩いたかもしれない――そんな裏の未来を見せるキャラ。
3. 小森の決意表明
守りに入っていた小森が、不良に屈せず仁王立ちする場面は地味だけど熱い。
キャラクターの魅力
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茂野吾郎 – 無謀と才能が同居する純粋バカ。
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山根 – 野球に裏切られた少年の悲哀が滲む。
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小森大介 – 弱さを抱えつつも前に出る“常識人の成長”。
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清水薫 – 吾郎を見守り叱るバランサー。
スポーツ漫画としての熱量
投球フォームのコマ割り、バットが空気を裂く効果線、汗の飛沫、、、
とにかくかっこいい。熱いシーンが多い。
個人的に刺さったシーン TOP3
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吾郎の左投げ練習 – 不安を笑顔で塗りつぶす瞬間。
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山根の横顔 – 涙をこらえた一コマが胸に刺さる。
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清水の声援ダイブ – 感情が体を突き動かす爽快シーン。
気になった点・今後への期待
山根エピソードのケリが少し急ぎ足で、もう少し余韻がほしかった。また、左投げが説得力ある武器になるのか見届けたい。
まとめ
怪我明けの吾郎、絶望の山根、ビビりな小森――三者三様の“諦めそうな心”が衝突し化学反応を起こすのが15巻。派手な公式戦はまだ先なのに、読後はフルイニング観戦したような汗をかく。ブログで推すなら「一度離れた夢に再び火を点けるマッチ箱みたいな巻」。スポーツをやめた経験がある人ほど刺さるので、再燃のお供にぜひ手に取ってほしい。