MAJOR (20)をレビュー!心理戦と意地の応酬

野球

中学地区大会・準決勝、三船東 vs. 友ノ浦。吾郎と寿也が正面からぶつかる瞬間だけを丸ごと1冊に濃縮したのが20巻だ。0‐0で動かなかった試合は、寿也のセーフティーバント一発で空気が変わり、そこからは互いに心をえぐり合う心理戦と意地の応酬が止まらない。ページをめくる指先が汗ばむほどの緊迫感なのに、読み終わったらスカッと爽快──そんな“圧倒的カタルシス”が待っている。

試合展開(ネタバレ薄め)

  • 4回表――寿也の奇策
    “絶対エース同士の投げ合い”を割るように寿也がセーフティーを仕掛け、揺さぶられた吾郎が悪送球で失点。

  • 小森の鉄拳制裁
    動揺で制球を乱す吾郎に、小森がまさかの“頭部へ返球”で目を覚まさせる。キャプテンの覚悟がしびれる。

  • 追いすがる三船東
    5対2と3点ビハインド、二死無走者から代打・牟田が起死回生のヒットで火を点ける。ここで寿也が自らマウンドへ──絶望と興奮が同居するラストイニング。

心を揺さぶる3シーン

  1. 「今は俺のミットだけ見ろ!」
    小森が涙目で叫ぶ場面は、補佐役が“戦友”に昇格した瞬間。

  2. 吾郎の“覚醒弾”
    寿也の揺さぶりを力でねじ伏せる同点ホームラン。打球音が脳天を貫く演出に鳥肌。

  3. 寿也の握り拳
    逆転被弾直後、マスクの奥で悔しさを噛み殺すカット。完璧超人のヒビがギュッと詰まっていて胸に刺さる。

キャラクターの燃えポイント

キャラ 今巻で刺さった台詞/行動
茂野吾郎 「オレの野球は、テメェを向いてないと面白くねぇ!」と寿也に啖呵。
佐藤寿也 “捕手・投手の二刀流”で吾郎を徹底研究する執念。
小森大介 キャッチャーマスクを脱いで鉄拳制裁→即座に守備に戻るプロ魂。

作画と演出

満田拓也先生は20巻で“静”と“動”の振れ幅を極端に設定。バットを構えるアップを丸1ページで見せた直後に、極細コマ割りで一気に球速を体感させる。スピード線より“音”と“間”で勝負する演出がエグい。 さらに汗や砂塵の粒子まで描き込むことで、夏の球場のムッとした空気が紙越しに伝わる。

個人的ツボとちょっとだけ希望

正直、代打・牟田のヒットには相当燃えた。でも、試合展開が怒涛すぎて山根の活躍カットがやや薄味。次巻で“山根の一撃”が爆発する布石と信じてる。あと、寿也が自分を鼓舞する独白がもう1ページ欲しかった……。

まとめ

20巻は「野球=勝負」から一段深く踏み込み、「あいつと野球をやるから面白いんだ!」というMAJORの核心を剥き出しにした巻だ。最後の1ページを閉じた瞬間、ボールとバットがぶつかる乾いた音が耳に残り、心臓の鼓動が聞こえそう。

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