ダイヤのA(1)のレビュー!無鉄砲主人公×エリート捕手

野球

ここから始まる『ダイヤのA』は、主人公・沢村栄純が田舎の中学から“東京の名門”青道高校へ招かれ、自分の野球人生を賭けた大きな一歩を踏み出す物語だ。

ざっくりあらすじ(ネタバレ薄め)

物語は、沢村の最後の中学公式戦――暴投で敗れた悔しさが残るシーンから始まる。そこへ現れるのが青道高校のスカウト・高島礼。彼女の誘いで沢村は東京へ見学に向かい、キャッチャー御幸一也との“出会いの一球”で人生を決める決意を固める。一方で、仲間と同じ高校へ進む約束を破るかどうかで葛藤する沢村の人間味が、ギャグ混じりのテンポで描かれ、読んでいて「こいつホントにバカだけど憎めない!」と声が漏れる。

キャラクターと心を揺さぶるポイント

沢村栄純 ― “愛すべき無鉄砲”

  • 暴投少年の伸びしろ
    中学で制球難でもガッツだけは全国級。真っ直ぐしか投げられないのに、打者のバットを芯を外してしまう“クセ球”が光る。

  • 仲間想いのバカ正直
    推薦入学を蹴ってまで友達と高校野球をやるつもりだったが、青道の設備と御幸のミットに心奪われて揺れまくる……その葛藤がリアル。

御幸一也 ― “正捕手の器”

  • 1年生ながら雑誌に載る実力で、沢村の変化球のない球を初見でミットに収める余裕っぷりが痺れる。

  • クールな皮肉と面倒見の良さのバランスが絶妙で、「こんな先輩いたら絶対ついて行くわ」と思わせるカリスマ。

高島礼 ― “背中を押すスカウト”

  • ちゃきちゃき姉御肌なのに、沢村の潜在能力を見抜く慧眼。青道の“面倒見文化”を体現する存在で、彼女の笑顔がなかったら物語は始まらない。

演出・作画の魅力

寺嶋裕二の絵は、投球フォームの連続コマで“振り上げた腕の重さ”を感じさせ、打球シーンではコマを大胆に割ってスピード感を叩き込む。ギャグ顔→シリアス顔への落差も大きく、ページをめくるたび感情が振り回される。さらに田舎球場と青道グラウンドで背景トーンを意識的に変え、“世界が一変する眩しさ”を演出しているのもニクい。

読後に残る“エネルギー”

1巻を読み終えた瞬間に感じるのは「まだ何も成し遂げていないワクワク」だ。沢村は甲子園どころか青道への入学すら決断途中。けれど、滑り込むように新幹線に飛び乗った彼の背中を見ていると、「始める勇気」さえあれば未来は動くんだと背中を押される。読書メーターでも「想像以上にギャグ多め」「主人公がかわいいバカ」といった感想が並び、敷居の低さと熱の高さを両立している点が評価されている。

個人的“刺さりシーン”BEST3(結末は伏せます)

順位 シーン 心の叫び
1 御幸のミットが「ズバン」と鳴る一球 「このバッテリー絶対化ける!」
2 沢村が仲間に土下座寸前で謝る夜 青臭さ100%、涙腺直撃
3 青道グラウンドのナイター照明 “地方球児”が見る夢の光景に胸が熱い

ちょい惜しいポイント

  • 初読者には「突然東京へ行く展開が早い」と感じるかもしれないが、その疾走感こそこの作品のエンジン。

  • 野球用語が一部マニアックで、未経験者は戸惑う場面も。ただし巻末のおまけコーナーや御幸の解説で自然に補完できるのでご安心を。

まとめ

『ダイヤのA』1巻は、野球漫画の王道を踏みながら“無鉄砲主人公×エリート捕手”という化学反応で、一気に読者の脳内グラウンドを熱くする導火線だ。ページを閉じても、ミットが受け止めた“あの重たい音”が耳奥に残り、気づけばボールを握りたくなる。ぜひ本編で胸の鼓動と一緒に味わってほしい。

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