MAJORの(17)のレビュー!吾郎と寿也が4年ぶりに再会

野球

まず結論から言うと、17巻は「三船東が動き出した瞬間」と「吾郎と寿也が4年ぶりに再会する瞬間」がダブルで炸裂する、めちゃくちゃ濃い1冊だった。全192ページに詰まった熱量が一気に噴き上がる感じで、読み終わったら胸の中でバットがカキーン!と鳴った。。ここから先はネタバレをぼかしつつ、グッと来たポイントをラフに語っていくので、まだ読んでいない人も安心してほしい。

ざっくりストーリー

前巻で火がついた三船東―三船西の練習試合は、いよいよクライマックスへ。小森キャプテンの“意地のリード”と山根の“捨て身の走塁”が交差し、スタンドの清水も拳を握りしめる。この試合、点差以上に「野球を続ける理由」を問い返してくる展開が胸をえぐる。そんな熱闘のさなか、吾郎は右肩をかばいながら左投げ開眼寸前──なのにベンチで歯ぎしり。観てるこっちまで「投げさせてやれ!」と叫びたくなる。試合後、舞台は一気に広がり、父を追うキャッチャー佐藤寿也が再登場。4年ぶりの再会シーンは、ページをめくった瞬間に鳥肌が立った。章タイトル「佐藤寿也の決意!!」の重み、半端ない。

刺さったシーン TOP3

  1. 小森の執念
     1話目のラスト、ガッツポーズなのか祈りなのか判別不能な表情でボールを見送る小森。普段クールな彼がここまで感情むき出しになるの、反則級に熱い。

  2. 吾郎の欠陥
     「左でもストレートは伸びる。でも――」と寿也に看破される場面。吾郎の天才ゆえの弱点が一刀両断され、読者も一緒に胃を掴まれる感覚。この“完璧じゃない主人公”感がたまらん。

  3. 4年ぶりのグータッチ
     再会した吾郎と寿也が無言で拳を合わせる一コマ。セリフなし、背景線なし。それだけで二人の時間の差が一瞬でゼロになる。ここは声が出た。

キャラクター語り

茂野吾郎

肩を壊しても「じゃあ左でやる!」の無茶苦茶っぷりは相変わらず。でも17巻では“天才の孤独”が濃く描かれ、読んでいて思わず背筋が伸びる。

佐藤寿也

声変わりして落ち着いた雰囲気なのに、芯は相変わらず野球バカ。父親問題で揺れながらも、キャッチャーマスクを外すときの目つきがプロ顔負けで震える。

小森大介

“陰のヒーロー”だったはずが、今巻は完全に表舞台。リードだけじゃなく、チームの空気を動かす役割も担い始めたのが胸アツ。

スポーツ漫画としてのキレ

バウンドした砂粒やスパイク跡まで描き込む作画は健在。特に山根のヘッドスライディングの土煙は、紙面越しにザラッとした感触が伝わるレベル。試合のスピード感を上げるために、1ページのコマ数を敢えて減らして“間”を取る演出も光る。

物語のターニングポイント

16巻で播かれた種が芽を出し、17巻で一気に枝葉を広げる。吾郎と寿也の再会はもちろん、海堂高校セレクションという次なる舞台の影も見え始め、「中学編終章」への助走が始まった感じ。巻末の「棒球」は、タイトルだけで吾郎の今後を示唆しててゾクッとした。

ちょっとだけ気になった点

ページ配分の都合で、三船西戦の余韻が駆け足気味。もう1話分あったら山根の心情がさらに深掘りできたかも。とはいえ、後半の“寿也無双”がそれを補って余りあるので結果オーライ。

まとめ

17巻は「負け犬だった中学球児たちが、本当のライバルと再会して再起動する巻」。燃え尽きた炭にもう一度火が灯る瞬間を、これでもかと見せつけてくれる。読み終えた後は、グローブを探して外に飛び出したくなるはず。「再会の一撃で心がフルスイング! 中学編、最高到達点へ」青春をもう一杯、おかわりしたい人に全力でオススメ!

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