18巻は、中学編の“火柱”が一気に天井を突き抜ける巻だった。右肩を壊し左投げへ“変身”した吾郎がついに公式戦でマウンドへ立ち、バラバラだった三船東は奇跡の団結で強豪校を追い詰める。さらに寿也の過去が重くのしかかり、清水の檄がチームの背中をドンと押す――読む側の鼓動もページをめくるたび加速しっぱなし。ページの中に詰め込まれた青春と汗の密度がえげつない。
ストーリーざっくり(ネタバレ薄め)
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第1~6話――吾郎は左腕での初先発。最初こそ“打ち損じ”扱いされるが、球威と制球が噛み合った瞬間に相手打線が凍りつく。タイトルどおり「吾郎の変身」を目撃する序盤は鳥肌モノ。
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中盤――小森の配球と山根のガッツが噛み合い、観客席の薫が放つ檄「目先の勝負でいいじゃない!」が全員の心に点火。ここでチームは完全に一つになる。
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終盤――寿也の暗い過去が語られ、吾郎と寿也の対比がより鮮明に。勝敗以上に「野球を続ける理由」を突きつけられ、読者も胸をえぐられる。
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ラスト――次なる刺客・青武館が姿を現し、18巻は“まだまだ終わらない”と全力で煽って最終ページへ。
心を揺さぶるポイント
左投げ吾郎、ついに覚醒
右肩を壊した少年が「じゃあ左でやる!」と豪語してから数巻。今巻でようやく本気のストレートを披露し、打者がバットをへし折られる演出に拳が震えた。
清水薫の“ハッパ”
清水の一喝は男勝りの口調だからこそ効く。「反省は目一杯やってからにしろ!」という台詞が投げ出しかけた山根の足を止める。読んでいるこっちも背筋が伸びる。
寿也の影と光
寿也の過去エピソードが想像以上にヘビーで、ページのトーンが一段暗く落ちる。でもその闇があるから、彼のキャッチャーミットの音が誰よりも高く響く。
キャラ別の魅力
キャラ | 今巻の推しどころ | 補足 |
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茂野吾郎 | 左腕一本で強豪打線を抑える無謀さと天才肌 | 右肩→左肩へのフォーム改造描写は必見 |
小森大介 | 「打てないなら守りで勝つ」と腹を括るリード | 主人公の影で光る参謀役 |
山根 | 泥だらけのヘッドスライディングで流れを呼ぶ | 一塁線に飛び込む土煙が紙面から飛び出す |
佐藤寿也 | 重い過去を抱えながらも鋭い洞察で吾郎を解析 | “捕手の孤独”が垣間見えるカットが刺さる |
清水薫 | チームに火を点ける檄と差し入れ | 幼なじみヒロインの存在感アップ |
演出と作画
満田拓也先生は今巻でコマ割りを大胆に削り“間”を演出。例えば吾郎が初めて本気ボールを投げる瞬間、1ページ丸々を黒バック+白線一本で割き、音まで聞こえそうな速度感を出している。
さらに土煙やスパイク跡のペン入れが細かく、特にノーステップで投げる吾郎の足元描写はスポーツ写真並みの臨場感。
改善点と今後への期待
寿也の過去語りが急に挿入されるため、テンポが若干ブレーキ。もう1話分深掘りすれば読者も感情移入しやすかったかもしれない。ただし次巻以降で海堂セレクションへの布石になると考えれば、この“溜め”は必要なタメだろう。
まとめ
18巻は「左腕で未来を切り拓く吾郎」と「過去に縛られる寿也」の対比がエグいほど鮮烈。試合に勝つか負けるかより、“野球で自分を証明したい”という叫びが心臓を直撃する。「泥と汗と後悔が交錯した瞬間、ボールは嘘をつかない――青春燃焼度MAXの18巻!」。ページを閉じても、グラウンドの土と汗の匂いが指先に残るはずだ。