MAJOR (19)のレビュー!吾郎の左腕が真価を発揮!

野球

19巻は、吾郎が“投手としての再構築”を証明し、寿也との因縁がいよいよ火を吹く“中学編の山場”だった。本巻で三船東は強豪・青武館を撃破し、次戦でついに友ノ浦中=寿也率いるチームとの激突へ向かう。その裏で名門・海堂高校のスカウトが動き出し、少年たちの“夢”と“プライド”がぶつかりあうドラマが一気に加速する。

ストーリーざっくり(ネタバレ薄め)

青武館戦――吾郎の左腕が真価を発揮し、強力クリーンナップを豪速球でねじ伏せる。 序盤は「左投げはハッタリ」と薄笑いしていた相手ベンチが、次第に声を失っていく描写が痛快。試合後、海堂のチーフスカウト・大貫がスタンドから降りてきて「特待生で来ないか」とラブコール。 だが吾郎の答えは即答の「やだね」。勝負馬鹿らしい爽快な拒絶に思わずニヤけた。

場面は一転、友ノ浦中。海堂スカウトは寿也にも眼を向け、「吾郎が断れば君を獲る意味もない」と揺さぶりを掛ける。 ここで寿也の心に再び“吾郎コンプレックス”が疼き、二人の距離がぐっと広がる。読書メーターでも「寿也と吾郎、決裂」というレビューが目立つが、まさにその空気感。

心を撃ち抜くシーン TOP3

  1. ノーヒットノーラン達成の瞬間
     吾郎が九回最後の打者を空振り三振に切って取り、ガッツポーズではなくただ天を仰ぐカット。少年らしい無垢と重圧が同居していて泣ける。

  2. スカウト拒否の「やだね」
     青空の下で海堂の名刺を突っぱねる吾郎。自分の野球を貫く宣言であり、中学編のテーマ“自由”を象徴するワンシーン。

  3. 寿也の握り締めたミット
     友ノ浦のベンチで、悔しさを噛み殺すように革を握りしめる表情アップ。佐藤寿也というキャラの影と光が一枚で伝わる。

キャラクターの輝き

キャラ 今巻の推しポイント
茂野吾郎 左腕でノーヒッター。海堂スカウトを一蹴し“でっかい野球”を宣言。
佐藤寿也 吾郎への並々ならぬライバル心と、プロ入りの現実を天秤に掛けて揺れる。
小森大介 青武館戦で冷静なリードを徹底、影のMVP感が増量。
青武館クリーンナップ 横浜シニア出身の“堂本・長渕・天野”トリオ。中学野球の頂点を肌で感じさせる壁役。
海堂スカウト陣 「天才を囲う大人」の象徴として登場。少年漫画らしい毒とリアリティを同時注入。

演出・作画について

満田拓也先生は19巻でスピード線を極端に減らし、白背景+音だけを想像させるコマを多用。吾郎の球が“視えない速さ”でバッターを置き去りにする感覚が鮮烈だ。 また、スタンドの芝目や汗の粒を細かく描くことで、夏の地区大会特有のむせるような熱気まで伝わってくる。ページをめくる指先がじっとりするほど。

今巻の意義と今後へのワクワク

青武館撃破で三船東の“打倒名門”の物語は一区切り。だが物語はここで終わらず、友ノ浦中との直接対決に向かってシリーズ全体が再点火する。海堂スカウトの存在は、単なる進学話ではなく「少年野球の夢と現実」をえぐる刃。吾郎と寿也が次巻以降、どんな答えを掴むのか──読者まで試されている気分になる。

まとめ

19巻は「左腕で限界突破した吾郎」と「揺れる寿也」のコントラストがえげつない一冊だった。ページを閉じても耳の奥でキャッチャーミットがパーンと鳴り、夏のグラウンドの土の匂いが鼻をくすぐる。。

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